桑原正彦

「夏の終わりに」

【作品紹介】

桑原正彦の絵画作品は、現代社会に生きる私たちが普段見過ごしている世界の奇妙さを、軽妙にすくいとってみせます。都市部の淀んだ水辺に生息する奇妙な動物、体の半分がハムになってしまった畸形の豚のような生物、その他名前すらつくことのない無数のキャラクター、或はチラシや雑誌広告に毎日のように掲載される、無名の女性モデルたち—これらは、全てのイメージが消費されていくこの世界において、いわば最も安価な場所にいるからこそ、悲哀を帯びた聖なる美しさを秘めています。
現代の都市生活者が抱える空疎な孤独感が、時にユーモラスなモチーフでやわらかな色彩とともに描かれることによって、ある種の救済としてはたらいているかのようです。

【展覧会について】

本展では、1996年から2001年までの、風景を描いた作品をご紹介いたします。
潮干狩りを連想させるような、浜辺に打ち寄せられた貝が素朴なタッチで描かれる『ピンク色の浜 pink beach』(96年)から、雑草の茂った草むらのような、より抽象的な風景が展開する『その後 After That』(00年)、ぼかされた色面で地平線だけが表現されている『緑地Green Field』に至るまで、どこかしらに空虚さを漂わせた、都市の風景が浮かび上がります。

作家プロフィール

桑原正彦

桑原正彦は1959年東京都生まれ。小山登美夫ギャラリーでの個展は、1997年「棄てられた子供」、1999年「眺め」、2001年「暮らしと膿」、2005年「土地開発」、2007年「夏の終わりに」、2008年「窓」、2010年「とても甘い菓子」、2012年「夢の中だけで」、2015年「あかるい日」、そして今年2017年「fantasy land」で10度開催しており、アメリカ、サンタモニカのRichard Heller Galleryでも、2001年、2008年と2度の個展を開催しています。

主なグループ展に、「TOKYO POP」(平塚市美術館、神奈川、1996年)、「The Japanese Experience – Inevitable」(Ursula Blickle Stiftung財団、クライヒタール、ドイツ、2002年、以降ザルツブルグ近代美術館、オーストリア、2004年へ巡回)、「POPjack: Warhol to Murakami」(デンバー現代美術館、アメリカ、2002年)、「Japan Pop」(ヘルシンキ市立美術館、フィンランド、2005年)、「ポートレート・セッション」(広島市現代美術館、広島 / ナディッフ、東京、2007年)、「Pathos and Small Narratives」(Gana Art Center、ソウル、韓国、2011年)などがあります。